ブルースハーモニカの世界に大きく横たわる問題に、「ブルースハープ、どう呼ぶか」があります。これについて自分なりに考えてみます。
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この問題については、ハーモニカプレーヤー広瀬哲哉さんのハモニカフェ第1話で語られていて、まぁそのとおりなわけです。
楽しいチャンネルですよ。ためになるし。
現状としては、一般にはブルースハープ、愛好家にはテンホールズハーモニカといった感じでしょうか。
メーカーや楽器店も大体テンホールズハーモニカの呼び方を採用しているようです。(若干のぶれがあって、10ホールズハーモニカ、10ホールハーモニカ、10穴ハーモニカなどになってますけどね)
海外では'ten-hole harmonica'という呼び方はあまり見ません。’diatonic harmonica'が多いですね。たまに’ten-hole diatonic harmonica’と表記しているものを見かけます。日本では音階よりも形(10穴)で区別するのは、複音ハーモニカがポピュラーだからでしょうかね?
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なぜブルースハープがまずいのかと言うと、よく知られているようにBlues Harpはホーナー社の商品名(登録商標)だからですね。ウォークマン、バンドエイドとかと一緒です。
「ブルースハープ、シブいっすね。」
「これはBlues Harp®じゃないよ。」
、、、なんてこともありそうな話です。
なぜ、ここまでブルースハープが一般的になったかの理由には、
- Hohner社の大ヒット商品、有名プレーヤーの愛用者も多い(らしい?)
- はじめて"Blues"を冠したハーモニカ(ホント?)
- 単に語感がカッコイイ
1はそのとおりではあるのですが、販売数やプロ・アマ含めたユーザの数ならおそらくMarine Bandにはかなわないはずです。なにしろMarine Bandは120年以上の歴史があるうえ、現在でも最も人気があるモデルのひとつです。Blues Harpの発売は70年代ですから、50年足らずの歴史しかありません。もちろん、それでも十分すごいですけどね。
YouTubeの動画を見ていると、その有名さに反してBlues Harpを使っている人はそんなに見ないですね。以前と違って、今はいろいろ選択肢がありますからね、意外とそんなものかもしれません。
2については、「はじめて"Blues"を冠した」かどうかは未確認ですが、ブルース用として作られ、最初に有名になったモデルであることは間違いないです。だって名前がそうなってますからね。
元々はブルースとは無関係な楽器として生まれた10穴ハーモニカが、ブルースプレーヤーに見いだされて、いわゆるブルース用ハーモニカとしての地位を確立したうえでの、Blues Harpの発売です。ブルースハーモニカの代名詞的モデルになったのも無理からぬところです。
3はもう、そのままです。なにしろ語感がいいですし、言いやすいです。Hohner社のネーミングの大勝利です。何だかんだ言っても、個人的にはこれが一番の理由なんじゃないかとにらんでます。
「カッコイイ」は重要、すごく大事。
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一方でハーモニカのことをハープ、さらにハーモニカプレーヤーをハーピストって呼ぶのはどうなんでしょう。ハーモニカの別名"French harp", "mouth harp"から来ているのだと思いますが、本家である竪琴の方面から苦情とかないのでしょうか。ちょっと心配です。
ハーモニカをハープと言うのには諸説あります。
- ハーモニカを横から見ると竪琴の形をしている
- 音が一列にならんでいて、グリッサンドする感じが竪琴をイメージする
- ハーモニカはチープな楽器なので、おしゃれで高級感を出したかった
- ニックネームっぽく言ってみた(言いやすいしね)
などなど。
1はよく言われるやつですね。たしかにMain Bandは竪琴の形に見えなくもないです。よくある三角のじゃなくて、神話とか童話に出てきそうな左右対称のやつ。残念ながら、どちらかというとBlues Harpは縦長で、あまり竪琴には見えないですね。
竪琴に見えるかな?
左からMarineBand,OldStandby,GoldenMelody,BluesHarp |
2はちょっとどうでしょうか。確かに管楽器(吹奏楽器)として他と比べればそのとおりですが、音が一列に並んでいるのはピアノやギターなどの弦楽器全般にいえることです。若干無理があると思います。
では3は?。ハーモニカは、当時わずか数十セントで買える、楽器の中ではかなり安い部類に入ります(今だと数十ドルですけどそれでも安い)。メーカーとしても、プレーヤーにとっても、少しでも高級感を出したいという気持ちはわかります。
「ブルース」と「竪琴」とではイメージが繋がりませんが、ハーモニカがブルースで使われるようになる以前は、もともとヨーロッパのご陽気な民族音楽を演奏するために普及しました。ハープというニックネームはこの頃からのものでしょう。
最後の4についてはもう全然わかりません。WilliamをBillっていう感じでしょうか。非英語ネイティブからすると、さっぱりです。もちろん、 ’har’-monicaと'har'-pで共通しているのはわかりますが、まったく別の楽器の名前を当てちゃうのはどうなんでしょう。
'Mississippi saxophone'という呼び方もあって、アンプリファイドされたサウンドを指しているらしいですが、「オモチャじゃないんだぜ」的なニュアンスも感じられます。それに近い感じでしょうか。
結局、どれが正解なのかはわかりませんし、それぞれの合わせ技でハーモニカをハープと呼ぶことになったのでしょう。でも、百歩譲ってハープと呼ぶのはいいとして、ハーモニカプレーヤーをハーピストというのは、さすがに「いいのかそれで」って思います(笑)。
最後の4についてはもう全然わかりません。WilliamをBillっていう感じでしょうか。非英語ネイティブからすると、さっぱりです。もちろん、 ’har’-monicaと'har'-pで共通しているのはわかりますが、まったく別の楽器の名前を当てちゃうのはどうなんでしょう。
'Mississippi saxophone'という呼び方もあって、アンプリファイドされたサウンドを指しているらしいですが、「オモチャじゃないんだぜ」的なニュアンスも感じられます。それに近い感じでしょうか。
結局、どれが正解なのかはわかりませんし、それぞれの合わせ技でハーモニカをハープと呼ぶことになったのでしょう。でも、百歩譲ってハープと呼ぶのはいいとして、ハーモニカプレーヤーをハーピストというのは、さすがに「いいのかそれで」って思います(笑)。
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で、肝心のどう呼ぶかですが、「ブルースハープ」が一般に定着しているならもうそれでいいんじゃないかと思うんですよね。正しさって大切ですけど、言葉って相手に伝わらないと意味がないです。
かっこいいし(笑)。
自分が欲しいので作りました。