2020年11月1日日曜日

ベンドについて考える ②(もう少し考えた)


 「ベンドについて考える①」の続きです。

前回は単純にリード楽器で音程が下がる仕組みの話でしたが、今回はテンホールズハーモニカ限定の話です。

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Harmonica For Dummies 2nd Edition(Winslow Yerxa著)に、「ベンドの原則(bending principle)」が3つ書かれています。これを勝手に呆訳してみると。。。

  1. 高い音をベンドさせるには口の中の空洞を小さくする必要があるで。低い音の時には空洞を大きくするんや。
  2. ハーモニカの各穴はそれぞれ2つの音がでるやろ、高い方と低い方や。それでな、高い方の音がベンドできる音になるんやで。
  3. その高い音は低い方の音までベンドで下げることができるんやで。つまりこの2つの音程が離れていればいるほど、大きくベンドすることができるってわけや。
これは素晴らしい教本

1は、ベンドのかけ方に関する原則ですね。2は、各穴のベンドがかけられる音(リード)についてです。そしで、3はそのリードがベンド出来る幅(量)についてです。ここでは、この2と3に注目します。

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例えば4番の穴なら、吹音がC、吸音がDです。音程が高いのは吸音のDですから、この吸音のDがベンドのかけられるリードになります。つまり4番の穴はドローベンドが可能で、DからCまでの1音分下げることが可能となります。

同様に、10番の穴なら、吹音がC、吸音がAです。高いのは吹音のCですから、吹音のCのリードがベンドできることになります。したがって、10番の穴はブローベンドが可能で、CからAまでの1音半下げられることになります。

これを各穴の一覧にすると以下のようになります。

青い色の音がベンドで得られる音になります。

ちなみにこれだけでは半音階には音がいくつか足りないので、オーバーブロー、オーバードローで補う必要があります。

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でも、低い方の音までベンド出来るということですが、実際にはその低い音まで下げることは出来ないと思います。おそらく低い音の手前くらいが限界なんじゃないかと。これもちょっと不思議ですよね。

前回書いたリード楽器で音程が下がる仕組みだけを考えると、このように鳴る側のリード(高い方)のベンドが鳴らない側のリード(低い方)に制限されるのは説明がつきません。

ベンドの原則2と3から考えると、ベンドしない側のリードが、ベンドする側のリードの動きに干渉していることがわかります。確かに、カバープレートを外して音を鳴らしてみると、発音するリードではない方のリードも振動しています。


テンホールズはクロマチックハーモニカと違ってバルブがありませんから、鳴っていないリードも空気が通過して振動しているのだと思います。

ベンドの原則2から、ベンドできるリードは音程が高い方です。これに対して、低い音のリードが振動してこれに共鳴することで、発音している高い方のリードのベンドを助けているんじゃないですかね?、というのが僕の仮説です。

つまり、ベンドするリードの音程が下がるにつれ、共鳴する方のリードの音程に近づいていきます。ここまでは共鳴する方のリードがベンドの音程を下げる方向にアシストします。

共鳴するリードの音程を通り過ぎて、もっと下げようとすると、逆にブレーキになるのじゃないでしょうか。裏を返すと、ベンドの原則2で低い方のリードはベンドできないというのは、このブレーキが原因だと思うのです。

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どうでしょうか、正しいと思うんだけどなあ、この仮説。物理が得意な人の意見が聞いてみたいところです。

信じるか信じないかはあなた次第・・・
間違っていても責任は取れませんよ(笑)

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ベンドの練習にぴったりですよ。