前回、ギターのチューニング方法について書きましたが、今回はよく知られて「は」いる方法の、ハーモニクスを使ったチューニングについて書きます。
ただ最初に断っておきますが、この方法はダメです。ちゃんと音が合いません。
でもあえて説明します。
さて、音叉で5弦を合わせるところは同じです。正しく音があった5弦を基準に、順にチューニングしていきます。
- 5弦の7フレットのハーモニクスに、6弦の5フレットのハーモニクスを合わせる。
- 5弦の5フレットのハーモニクスに、4弦の7フレットのハーモニクスを合わせる。
- 4弦の5フレットのハーモニクスに、3弦の7フレットのハーモニクスを合わせる。
- 3弦の4フレットのハーモニクスに、2弦の5フレットのハーモニクスを合わせる。
- 2弦の5フレットのハーモニクスに、1弦の7フレットのハーモニクスを合わせる。
3弦の4フレットのハーモニクスがちょっと苦しいですが、本題はそこではなく、各弦の7フレットの音がポイントです。
ここからは5弦と4弦に絞って説明していきます。
5弦の5フレットのハーモニクスはAです。そして4弦の7フレットのハーモニクスもAです。何の問題もなさそうですが、この4弦の7フレットのハーモニクスというのが曲者です。
まず大前提として、ギターはピアノやオルガンなどと同様、平均律の楽器です。フレットが均等に打たれてますからね(いうまでもなく、等間隔という意味ではなくて均等に幅が変化していきます)。
12フレットは開放弦の1オクターブ上の音になりますが、ちょうど真ん中です。正確には押さえた時に弦長が半分になります。
12フレットのハーモニクスは2倍振動なので、弦長が半分になるのと同じです。したがってこの2つの音は同じ音になります。逆に言うと、この2つの音が同じになるように調整するのが、いわゆるオクターブチューニングです。
12フレットのハーモニクスは2倍振動なので、弦長が半分になるのと同じです。したがってこの2つの音は同じ音になります。逆に言うと、この2つの音が同じになるように調整するのが、いわゆるオクターブチューニングです。
開放弦 |
12フレット |
12フレットのハーモニクス(開放の2倍振動) |
5フレットのハーモニクスは、5フレットがほぼ弦長の4分の3の位置にあるので4倍振動になり、正確に12フレットのさらに1オクターブ上の音になります。つまり5弦でいうと、開放弦の正確な2オクターブ上のAになるわけです。
5フレットのハーモニクス(開放の4倍振動) |
さて問題の4弦の7フレットのハーモニクスです。
7フレットは、開放のほぼ3分の2の位置にあるので、そのハーモニクスは3倍振動になります。そうすると7フレットのAの1オクターブ上のA(2倍振動相当)が出そうなものなのですが。。。
平均律の正しい音程である7フレットのAは、開放の3分の2よりわずかに長いのです。その結果ハーモニクスは、7フレットの実音と比較して、わずかに高いということになります。
平均律の正しい音程である7フレットのAは、開放の3分の2よりわずかに長いのです。その結果ハーモニクスは、7フレットの実音と比較して、わずかに高いということになります。
5フレットのハーモニクス(開放の3倍振動) |
7フレット |
※平均律の計算についてはまた改めて書くつもりです。
平均律の正しい音程である5弦の5フレットのハーモニクスに対して、このわずかに高い4弦の7フレットのハーモニクスが同じになるように、4弦を調整するとどうなるでしょうか。4弦の開放は本来合わせるべき、平均律のDより少し下げる(低い音にする)ことになってしまいます。
平均律の正しい音程である5弦の5フレットのハーモニクスに対して、このわずかに高い4弦の7フレットのハーモニクスが同じになるように、4弦を調整するとどうなるでしょうか。4弦の開放は本来合わせるべき、平均律のDより少し下げる(低い音にする)ことになってしまいます。
3弦のチューニングも、このわずかに低い4弦を基準にするので、さらに低くなります。
このわずかな差が、順に隣の弦、隣の弦、と積み重なってずれていって、1弦まで行った時には、随分と正確な音程から外れてしまいます。
まぁ4フレットのハーモニクスを使う時点でちょっとアレな感じではあるのですが。
前回、ギターというのはそれほど正確な音程が出せる楽器ではないとは書きましたが、限度があります。このチューニング方法はいけません。ダメですよ。
まぁ4フレットのハーモニクスを使う時点でちょっとアレな感じではあるのですが。
前回、ギターというのはそれほど正確な音程が出せる楽器ではないとは書きましたが、限度があります。このチューニング方法はいけません。ダメですよ。
「チューニングなどという(そしてリベンジ編)」に続きます。