2019年9月15日日曜日

自作キーボード沼に入ってみた件⑦


「自作キーボード沼に入ってみた件⑥」のつづき、シリーズ最終回です。


キーボード本体とファームウェアができたので、最後はキーキャップです。

当初は、せっかく自作するのだからキートップくらいはオリジナルにしよう、と考えていました。まさかプレートの塗装をすることになるとは思ってなかったですから。

こちらのページを参考に、昇華インクで印字できるかと思い、PBTのキーキャップを用意しましたが見事に失敗しました。やっぱり黒のキーキャップに昇華インクの印字はうまくいきませんでした。


うすうす気付いていましたけど。


UVプリントとかレーザー刻印とか何とかしたいところですが、当面は無刻印で使うことにしました。

無刻印で使うのはいいとして、購入したキーキャップはすべて同じ形ですから、ホームポジションの印が必要です。そこでダイソーのスワロフスキーを付けてみました。Pro Microのもげ防止にも使ったエポキシ系接着剤でピタッと。


というわけで完成です。めでたし、めでたし。


♪♪♪


最後に一通りパーツをリストアップしてみます。

「必須のパーツ」
[Keebio]
  • Iris rev.2 PCB $17.99
  • Iris用アルミプレート $27.99
  • 送料 $24.22
合計 $70.20(7,842円)

[遊舎工房]
  • Kailh BOXスイッチ(10個×6) 2,520円(税抜き)
  • 送料 300円(税抜き)
合計 3,046円(税込み)

[TALP KEYBOARD]
  • Pro Micro ATmega32U4 5V/16MHz(2個) 1,100円(税込み)
  • DSA PBT キートップ(2個×30) 3,300円(税込み)
  • 送料 300円(税込み)
合計 4,700円(税込み)

[Amazon.co.jp]
  • TRRSケーブル 820円(税込み)
  • ゴム足 358円(税込み)

[ありもので間に合わせました]
  • USBケーブル


全部で16,408円ですか。送料とかパーツの選定を工夫すれば、もう少し安く上げられるかもしれませんが、まぁまぁな金額でしょうか。キースイッチやキーキャップはロット数があるので、ぴったりの数でなく、数個あまります。

Keebioはドル建てなので、レートによって若干上下します。rev.3も発売されましたから、そっちだともう少し高価くなるかもしれません。

ゴム足は必須かというと微妙ですが、なしでは滑りますし机も傷つきそうです。


♪♪♪


「必須の道具、その他」
  • ハンダごて
  • ハンダこて台
  • ハンダ
  • ドライバー
  • ニッパー
  • カプトンテープ
  • エポキシ系接着剤

自作キーボード界隈では温調機能が付いたハンダごてが推奨されているようです。たしかに、キーボードはハンダ付け箇所が多いので温調機能があると便利ですが、ある程度慣れているなら普通の30Wくらいのもので十分だと思います。熱に弱いのはダイオードとLED(光らせたい人だけですが)くらいですし。

と、思いましたが、ちょっと見てみると温調付きでも安いものもありますね。んー、新しく買うならやっぱり温調付きなのかなぁ。

カプトンテープは、マスキングテープでもいけそうですが、高価いものではないですから、やっぱりカプトンテープを用意した方がいいと思います。

エポキシ系接着剤は、Pro MicroのUSBソケットのもげ防止に使います。


♪♪♪


「あると便利」
  • ピンセット
  • テスター
  • ハンダ吸い取り線(もしくはハンダ吸い取り器)
  • ハンダごてのコテ先クリーナー
  • 耐熱ゴムの作業マット
  • マグネット式のUSBアダプター

ピンセットはPro Microの書き込みテストで使います。もし面実装のパーツを使うときには、ハンダ付けで必須となります(やったことないけど)。

テスター、ハンダ吸い取り線(もしくはハンダ吸い取り器)は、上手くいかなかったときに必要となります。幸運なことに、今回は出番はなかったです。

コテ先クリーナーは、こて台付属のスポンジでも十分ですが、おすすめは金属たわしみたいなやつです。

マグネット式のUSBアダプターは、Pro MicroのUSBソケットのもげ防止のためですが、これがあるとUSBの抜き差しが格段にらくになるのでおすすめです。ちょっと掃除しようとしたときなんかに便利です。

ただ、当然ながらデータ通信ができるものが必要です。うっかり充電専用を買ってしまわないように注意です。


♪♪♪


「塗装に使用したもの(誰もやらないと思いますが)」

[ホームセンター]
  • ボデーペンプラサフ 832円(税抜き)
  • ボデーペン(つや消し黒) 1,093円(税抜き)
  • シリコンオフ(ミニ缶) 554円(税抜き)
  • 耐水ペーパー(#120, #240, #2000) 54円(税抜き)×3枚

[その他]
  • マスキングテープ
  • ガムテープ
  • 角材(割り箸でも可)
  • 古新聞
  • ガムテープ

♪♪♪


最後に心残りといいますか、自分に宿題をいくつか。
  • オリジナルのキートップ
  • パームレスト

オリジナルのキートップは上に書いたとおりです。遊舎工房のオリジナルプリントキーキャップが始まりましたが、1個1,000円ですからちょっと無理ですね。どうしたものでしょう。

足というのは、ちょっとわかりにくいですね。ゴム足を付けたじゃないかと。

ゴム足を付けただけだと、キーボードは平面にペタッとしている状態ですが、これの親指側を上げた形で傾けたいのです(チルトっていうのかな)。そのためにくさび形の足を付けたいなと。3Dプリンタの出力サービスを利用して何とかならないかなと思っています。


♪♪♪


というわけで、今では国内でかっこいいオリジナルキーボードのパーツが入手できるのに、今さらなぜIrisなのかと思わなくもないですが、なかなか満足度の高いキーボードです。周回遅れなのはわかってますが(笑)、楽しいですよ。


♪♪♪


こちらもどうぞ。
自作キーボード沼に入ってみた件①
自作キーボード沼に入ってみた件②
自作キーボード沼に入ってみた件③
自作キーボード沼に入ってみた件④
自作キーボード沼に入ってみた件⑤
自作キーボード沼に入ってみた件⑥
自作キーボード沼に入ってみた件(おまけ)

2019年9月1日日曜日

「30日でできる! OS自作入門」をどう読むか?


名著と名高い「30日でできる! OS自作入門」を読み始めました。

なんだよ、「Blender2.6マスターブック」の次はこの本についてだらだら書いていくのかよ、とお思いかもしれませんがそうではありません。「OS自作入門」の内容については既に色んな方が書かれているので、僕がつたない知識で解説なんておこがましいです。

じゃぁ何だよ。

この本、残念なことにちょっと古いです。2006年初版です。Windows Vistaがリリースされた年です。世間的にはXPがバリバリ主流の頃です。9x系だってまだ現役だったはずです。

そのため、いかに名著といえどもサンプルコードがそのままだと動かないので、そこのところをどうしたかということを書いておこうと思います。少しググればすぐにヒットしますから、この本を読むような層には不要かもしれませんが、30日どころか、初日で躓いて読むのをやめることになってしまうのはもったいないです。


♪♪♪


まず「30日でできる! OS自作入門」自体ですが、紙の本の他にKindle版もあります。ちょっとお得に買えます。古い本なので、古本も豊富です。古本だと著者さんに印税が入らないですけど、その辺りはお財布と相談してお好きなものをチョイスしてください。

付属のCD-ROMは絶対必要です。でもありがたいことに、この本のサポートサイトでISOイメージが公開されているので、CD-ROMが欠品していても大丈夫です。

サンプルコードを動かすマシンは素直にWindows機を用意しましょう。Macでもいけるという話もありますが、ムダな苦労はしないのに越したことはないです。

僕は最初古いWindows7機を引っ張り出してきて使いましたが、ディスプレイが小さくて辛かったので、途中からMacのBoot Camp上のWindows10で進めることにしました。

アセンブラやC言語を書くためのエディタは、お好きなものを使ってください。僕はいつものVSCode+Vimプラグインです。



1日目のhelloos.imgを編集するためには16進のエディタが必要ですが、xeditというフリーソフトを使いました。適当に選んだのでこれがベストかどうかはわかりませんが、とりあえずちゃんと動いたのでよしとします。


♪♪♪


ディレクトリ構成はドキュメント(Documents)フォルダの中に以下のように作成しました。
C:Document
├─Days30
│  ├─CD
│  └─tolset
│      ├─helloos0
│      │  ├─!cons_nt.bat
│      │  ├─helloos.img
│      │  ├─install.bat
│      │  └─run.bat
│      ├─old
│      │  └─※省略
│      ├─z_new_o
│      ├─z_new_w
│      ├─z_osabin
│      └─z_tools
│          ├─guigui00
│          ├─haribote
│          ├─osa_qemu
│          ├─qemu
│          ├─qemu_9x
│          ├─win32
│          ├─※省略
│          ├─imgtol.com  ←これ!
│          ├─※省略
│          └─wce.exe
CDフォルダには、付属のCD-ROMの中身をすべてコピーしておきます。このなかから、随時プロジェクト(例えばCD¥projects¥01day¥helloos0)をtolsetフォルダの直下にコピーして、編集して使用します。

フォルダをコピーしたら、まず!cons_9x.batは削除します。!cons_nt.batしか使いません。

次は用意できるものによって変わってきます。MacのBoot Campの場合は、フロッピーでブートできませんから(できないよね?)、エミュレータを使うしかありません。そのまま!cons_nt.batで開いたコマンドプロンプトでrun.batを実行します。

Windows機が用意できた方でも、フロッピディスクードライブが用意できなかった場合は、やっぱりMacのBoot Campと同様にエミュレータを使うしかありません。

フロッピーディスクドライブが用意できた方は、ここに書かれているように、imgtol.comを上書きしてから、install.batを修正してディスクを作成して、フロッピーで起動することができます。

そのまま続けていくとtolsetの下がいっぱいになってごちゃごちゃになりますから、次の章に行くときにoldフォルダに放り込んでいきます。必要なときには随時oldからtolsetに戻して動かせばOKです。


♪♪♪


この本ではフロッピーディスクの解説がされていますし、せっかくなのでできれば三日目くらいまではフロッピーディスクを使いたいところです。身近なオジサンに聞いて回ればUSBのフロッピードライブを持っている人がいるかもしれません。ひょっとすると、使っていないフロッピードライブ内蔵のPCが借りられるかもしれませんよ。


2019.10.31追記
「30日で〜」の著者が監修をしている、「作って理解するOS x86系コンピュータを動かす理論と実装」林 高勲(著), 川合 秀実(監修)という本が出てました。「30日で〜」の後継に当たる本なのでしょうか。
悔しいので、僕は「30日で〜」を読んでいくことにします(涙)。